暁命堂雑記

ときどき書きます。

読書メモ的な

およそありうべき最善でただひとつの結末——『月球植民地小説』について

もう5年以上まえ、まだ大学生だったころに書いた文章がみつかった。卒論の構想すら立っていなかったころだ。いま見返すと、あまりスマートではないし、よくないかたちで「批評」の影響を受けている——率直にいうと毒されている——感じが否めない(もちろん「…

死なない身体の生かしかた——劉慈欣と技術的永生の問題

香港の哲学者ユク・ホイは、2020年の世界的な感染症の危機に際して、医学的ないし技術的な手段によって死を克服しようとする精神は「ハムレットの文化」を継承するものではないかと述べている。 というのも、ヴァレリーの論考〔1919年の「精神の危機」〕から…